コシキ瀬の話をする前に、白状しておきたいことがある。
ブログをサボっていたわけじゃない。本当に、釣りに行けなかっただけだ。
カングレ(寒グレ)シーズンをまるごと逃し、ようやく4月に入って、海に出られる日がやってきた。何が釣れるかはわからない。それでも十分だった。
出船前夜:荒川船長との電話
いつも通り、栄光丸・荒川船長に電話を入れる(090-1518-7818、電話するなら夜7時半がベストだ)。
この日は昼過ぎにかけてしまったのだけど、返ってきたのはいつもの調子。
「天気次第では上がれんよー。それでもよかならおいでー」
沖磯じゃなくてもいい、それで構わないと伝えて予約完了。
この船長、かなり安全第一な人で、本当にダメな日は「寝とけ!」「来るな!」と、愛情のこもった叱責が飛んでくる。通い始めてもう10年以上。さすがに慣れた。
出船前、港でひとり時間つぶし
ワクワクが抑えきれず、10時には家を出発。現地に着いてからが長い。
港をうろつく小さいアジに遊んでもらいながら(また来年、大きくなって会おう)、スズキらしき魚とのファーストコンタクトもあったけれど、PE0.4号+リーダー0.8号ではまるで勝負にならず、あっさりラインブレイク。
あきらめて車の中で仮眠。風が強いなと思いながらうとうとしていると、あっという間に出船の5時。
「どこに乗りたい?」
沖は無理だろうし、地磯ならどこでも構わない。お任せで、といういつもの返事。連れて行かれたのは、港から数分のコシキ瀬だった。
磯の状況:浅くて、風があって、撒き餌が効くタイプ
港から近いおかげで一番磯に渡礁できた。本来のポイントは港向きではなく大ヶ瀬向きの水道付近らしいのだけど、この日は風が強く、船着き場での釣りになった。
撒き餌はいつも通りV9を半分、そして去年からハマっている爆寄せグレを半分。1日でオキアミ1角の予定。個人的には撒き餌を撒きすぎない派で、カップ半分程度をこまめに撒くスタイルだ。
夜が明けてくる。釣りたい気持ちを抑えて、まず高台から磯の様子を確認する。
……浅い。
まだ日が入らないので底までは見えないけれど、浅いことだけはわかる。まあ、なだらかに深くなっているはずだから大丈夫だろう。
撒き餌を散らかさないよう、足元のさらしの先にチョボチョボと落としていく。個人的な感覚だけど、天草のこのエリアは「撒き餌を撒きすぎない方が釣れる」タイプの磯だと思っている。絶対数も大分あたりのようには多くないし、何より水深15m程度の浅い磯が多いので、バンバン撒くと魚が沈んで浮いてこない。
そこで重宝しているのが爆寄せグレだ。撒き餌が海面に浮いてスロープ状になってくれるので、少し入れるだけでも効果てきめん。今まではV9オンリーの激安釣りだったけれど、これは効く。
10分ほどすると、少し張り出した瀬際に小魚(ボラの子だろうか)が湧き、その下に中型のグレがちらほら見え始めた。
そろそろ、釣り開始。
実釣:尾長42cmとサンノジ45cm、そしてチヌ地獄
潮は中潮〜若潮のゆったりとした流れ。タックルは1号竿に道糸1.5号、朝はハリス1.5号(昼からは1号)。ウキは0号、ハリスは長めに2ヒロ半、ウキ止めは3ヒロ。針は4号でノーガンからスタートした。
瀬際でじわじわと餌が沈んでいくのを見ていると、瀬の中から中型がひとつ飛び出してきた。久々のやり取りに、ワクワクが止まらない。35cmとやや小ぶりだったけれど、きれいな尾長だった(この日、朝のうちにカメラの電池が切れていたので写真がないのが悔やまれる)。
幸先のいいスタートに気分が上がる。尾長が出るということは、もう海の季節が変わりつつあるということなのだろう。
2匹目も、すぐに同じくらいのサイズが釣れた。仕掛けが馴染む前に餌へ食いついてくるのが見える。棚はだいたい1ヒロ半くらいだったと思う。活性は悪くない。
3投目、それまでのようにグレが上がってこなくなった。もう終わりかな、と思った矢先――バチバチという、今まで見たことのないほど早いウキの動き。
少し大きい、と直感した。ドラグを緩めて瀬から遠ざけるように誘導する。何度も瀬際に突っ込もうとするのを「やめてくれ」と念じながらのやり取り。かなりやんちゃな走りを見せてくれたのは、42cmの尾長だった。
たった7cmの差で、これほど引きが違うのかと驚かされる。
このあとは朝食タイムが終わったのか、しばらく小魚しか見えない時間が続いた。右側の突端あたりを攻めてみようと、撒き餌をぽいぽい投げ入れる。突端から少し内側に入ったあたり(奥に見えるのは、お気に入りの小ヶ瀬だ)を狙うと、そこにグレが溜まっていたのか、1投1匹、撒き餌をチョボチョボ入れるだけで、昼までに20匹ほど。全員に「5年後また会おう」と告げてお帰りいただいた。
たまにバリ(アイゴ)も混じったが、潮の動きが良くないと判断し、動き出すまで小休止。久々の磯で足腰が痛い。幸せな痛みではあるけれど。
潮が動かない午後、そして最後の勝負
昼を回った頃、潮が動き出した。お腹も満たされたし、上げ潮に合わせて少し遠投から再開する。
しかし――遠投しても、潮がまったく動かない。ハリスを1号に落とし、全誘導で底のクロを狙う(昼からはウキも00号にしていた、と書きながら思い出した)。
釣れてくるのは、チヌ、チヌ、チヌ、ボラ、チヌ、バリ。1号ハリスだとボラはさすがに厳しい。
この日は荒天のため3時回収予定。少しでも竿を出していたくて、仕掛けを変えずに粘ったのが裏目に出た。潮があまりに動かないので、さらしが伸びる突端付近に撒き餌を入れ、仕掛けを投入。2ヒロも入らないうちに手元でバチバチ――竿にかかる重みから相当なサイズのグレだと分かったが、ラインブレイク。
ハリスを1.75号に上げて再挑戦するも、また同じ2ヒロ付近でブレイク。時刻は1時45分。
この地合いを逃したくない。
船長に電話を入れる。
「やっぱ今日3時回収ですか?」
「荒れだしたケンちょっと早くなるよー」
うーん。
最後に2号ハリスまで上げて、もう一度勝負に出た。またも手元でバチバチ。
今度こそ逃すまいと丁寧に寄せて、上がってきたのは45cmのサンノジだった。あの顔を見ると、なぜか毎回ちょっと拍子抜けする。本人は、めちゃくちゃ怒った顔をしているのだけれど。
一気に疲れが出て、少し早めに納竿した。
港へ、そして寄り道
時間いっぱい、散らかした撒き餌を海に流す。港に着くと、周りはあまり釣果が良くなかったようだった。お任せにしておくと良い場所へ連れて行ってくれる船長に感謝しつつ、港を後に――する前に。
まだ釣り足りない。船長に餌屋さんを紹介してもらった。
10分ほど走った先に、最近何かと話題の崎津集落があり、そこの福島金物店(?)でアミエビとオキアミを購入。近くの波止場でアジ釣りを始めた。
先客のおじさんが気さくな人で、すでにサビキで数を伸ばしていたところにお邪魔させてもらう。「日没になったら釣れんけん、今のうちに釣れ釣れー」と声をかけてもらいながら、ふかせ仕掛けしか持っていない自分は、1尾ずつ地道に釣っていった。
20cm以下の唐揚げサイズばかりだったけれど、50匹ほど釣ったところで日没。結局、いつもの釣りより1時間長く遊んでしまった。
まあ、こんな日があってもいい。満足な一日だった。





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